相続についての相談

相続についての相談

相続についての相談

 愛する家族を亡くすことほど悲しいことはありません。
 しかし、残念なことに、家族を亡くした心痛を癒す間もなく、相続問題でさらなるストレスを抱えて苦しい思いをされる方は決して少なくありません。相続に向けた協議の中で、それまで仲の良かった兄弟姉妹の間に亀裂が生じたり、信頼していた血縁者から裏切られた思いをした・・・というのは良く聞く話です。

 人が亡くなると(死亡された方を「被相続人」といいます)、被相続人が生前に築いた財産(これを「相続財産」といいます)について、法律(民法)に基づく「相続」が開始しますが、「相続」に基づく個別の相続財産の移転は、例えば不動産なら「登記」手続、預金債権なら「銀行口座の名義書換・解約」手続を完了しなければ完結しません。これが所謂「相続手続」です。

 逆に言えば、「相続」手続が全て終了しない限り、被相続人の個別の相続財産は、名実ともに、各相続人の財産として承継されません。

相続手続の概要

1 相続手続の概要

「相続手続」は、被相続人が「遺言書」を残したか否かによって大きく2つに分かれ ます。

  • 遺言書がある場合

    •  被相続人が、自分で「遺言」を残していた場合(自筆証書遺言)や、公証役場で公証人に「遺言」を作成してもらっていた場合(公正証書遺言)は、各個別の相続財産は、原則として、「遺言」に従い、各相続人の名義に移転されたり、相続人以外の第三者に遺贈されることになります(「遺言の執行」といいます)。

       しかし、被相続人の配偶者・子・親には、「遺言によっても奪われない相続分」(これを「遺留分」といいます)が法律によって決まっていますので、仮に、「遺言」が、「複数の相続人のうち、特定の相続人のみに大部分を相続させる」というような内容であった場合には、「遺留分」さえも受け取れない配偶者・子・親は、家庭裁判所で「遺留分減殺請求調停」というき裁判手続を採ることにより、「遺留分」の相続を確保することが必要になります。
       調停でもまとまらなければ、さらに「遺留分減殺請求訴訟」を提起せねばなりません。
       このことを逆に言えば、高齢の親が、例えば、「自分の死後、自分の子供たちが相続で揉めないようにしておきたい」あるいは「法定相続人以外のお世話になった人に、私の財産の一部を差し上げたい」というご希望をお持ちの場合は、子供たちの各「遺留分」に充分留意しつつ、きちんとした内容の「遺言」(公正証書遺言が一番適切です)を作成しておくことを検討されるべきです。
  • 遺言書がない場合

    • 「遺言」が無い場合には、法律(民法)の規定に従って、法定相続人の間で相続財産を分け合うことになります。

       しかし、民法は、「誰が法定相続人なのか」と、「各法定相続人は、相続財産のうちのどれだけの割合を相続するのか」(これを「法定相続分」といいます)についてはルールを定めていますが、それぞれの具体的なケースにおいて、各法定相続人が具体的にどの個別財産を相続するかはそれだけは決まりません。
       例えば、法定相続人3人に対して、相続財産が「家屋2つのその敷地」だけの場合、現実には2つしかない「土地建物」を3人がどのように分けるのか、一人が全部を所有することにして、あとの2人にはそれぞれの「土地建物」の法定相続分に相当する現金(「代償金」といいます)を支払うのか、それとも、土地建物を全部売却して、売却金を法定相続分で分け合うのか、法定相続人のうち2人が土地建物を1つずつ所有することにして、残りの1人に法定相続分の代償金を支払うのか、様々な方法があるため、どの方法で分け合うのかを決める必要があるのです。これが、「遺産分割協議」です。

       相続人らが、裁判外で、相続財産の具体的な分割方法に合意した場合には、「遺産分割協議書」が作成され、全ての相続財産は、「遺産分割協議書」に基づいて、相続手続が進められます。
       相続人らが、協議によって分割方法に合意できない場合には、家庭裁判所で、「遺産分割調停(又は審判)」を申立てて、裁判上で解決を目指すことになります。

相続手続のポイント

2 相続手続きのポイント

 当事務所では、上記の全ての場面、つまり、「遺言書作成」・「遺言の執行」・「遺産 分割協議(遺産分割協議書の作成を含む)」・「遺産分割調停(審判)」「遺留分減殺調停(訴訟)」において、依頼者の立場に立って、依頼者のご希望を実現できるよう、折衝を行い、文書を作成し、裁判手続を代理します。

 なお、相続手続においては、相続財産の分割方法だけではなく、これ以外にも、以下のような様々な法的問題が生じる場合があります。

  • 特別受益について

    •  法定相続人の中で、被相続人の生前、特にまとまった生計の資本としての贈与を受けた人間がいた場合、言わば「相続分の前渡し」とも言えるものなので、当該金額を考慮しなければ、法定相続人間の平等・衡平が図れません。
       そこで、民法では、そうした「生前に受けた特別の利益」を法的に評価して、「本来であれば当該利益分は相続財産の範囲であった」として法定相続分を計算した上で、すでに受けた利益分を控除した金額のみを受益者に相続させるという制度が「特別受益」制度です。
       何が特別受益に該当するか、該当するとしてその金額をいくらと評価するかは個別具体的に評価されるべき問題であり、法律専門家のアドバイス・サポートが必要不可欠です。
  • 寄与分について

    •  「特別受益」とは反対に、法定相続人の中で、「特に、相続財産を増加させる、または減少を防ぐような貢献をした人間」がいた場合、その貢献度を金額で評価して、本来あるべき相続財産の範囲に基づき法定相続分を計算した上で、貢献した人間には貢献分を加算して相続させる制度です。
       被相続人の事業活動を手伝って相続財産の増加に貢献した場合や、被相続人の介護を一身に引き受けたことにより、本来であれば介護費用として第三者に支払われるべき費用分の減少を食い止めた場合などがこれに該当します。
       「特別受益」同様、寄与分の評価は、個別具体的な法律判断であり、法律専門家のアドバイス・サポートが必要です。
 上記のとおり、相続手続においては、当事者同士が直接話し合いをしたがために、かえって話がこじれたり、精神的に重圧を受けたりすることも少なくありません。
 その意味で、できるだけ早期の段階で弁護士に相談することにより、専門家の法的アドバイスを受けながら、自分の希望を反映した相続手続の実現を目指すことをお薦めいたします。

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