株主との問題
会社の経営責任者(取締役等)は、会社から業務執行の委任を受けた人間として、会社に対し、善管注意義務と忠実義務を負い、当該義務に違反した場合には、会社及び株主に対し、損害賠償責任を負います。
また、経営責任者(取締役等)には、経営判断について一定の範囲の裁量が認められますが(「経営判断の原則」)、裁量の範囲を逸脱したときには、同じく、損害賠償責任を負うことになります。
株主は株式会社の実質的な「所有者」であり、最終的な「意思決定者」でもあります。また、経営責任者(取締役等)には、経営判断について一定の範囲の裁量が認められますが(「経営判断の原則」)、裁量の範囲を逸脱したときには、同じく、損害賠償責任を負うことになります。
経営責任者(取締役等)が業務執行者として不適格だと判断した場合は、いつでも株主総会で取締役等を解任することができますし、また、上記のように会社に損害を与えたと判断した場合には、株主代表訴訟を提起して、経営責任者(取締役等)の責任を追及することもできます。
そもそも、取締役会が無ければ、重要事項は全て株主総会で決する必要があるのですから、経営責任者(取締役等)からすれば、自分の考え通りの経営を可能にするためには、常に、株主総会で、自らの提案に議決権の過半数(重要事項についてはそれ以上の割合もあり得ます)の賛成を得る状態を確保する必要があります。
自分が唯一の株主で経営責任者(取締役)であればともかく、複数の株主からの出資を受けている場合、経営責任者(取締役等)は、自らの責任を自覚しながら株主との意思疎通を密に図り、株主の信任を得ることが決定的に重要です。
その一環として、「適正な手続による株主総会の開催」も重視する必要があります。